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How to クロスステッチ 準備・道具編

はじめに

大雑把で面倒臭がりのくせに、変に完璧主義というか、小さなところが気になって、なかなか満足できない・・・、そんな私のモットー(?)は、「楽して綺麗に」です。(^_^;) なるべく手間をかけずに綺麗に刺す、そのために工夫して、今のやり方にたどり着きました。

では、「綺麗なクロスステッチ」とは、どんなものなのでしょうか?


■綺麗なクロスステッチとは?

均一に形の揃った×が、平らに、しかしふっくらと刺されている、それが、私の「綺麗なクロスステッチ」です。この辺は、人によって定義が違うかもしれませんね。

皆さんも、一度、ご自分の作品を、じーっと見つめてみてください。×の形が不揃いだったり、引きつれていたり、妙にボコボコしていたりしていませんか?
私も、改めて昔刺した作品を見直してみました。やはりパッと見ただけではわかりませんが、よくよく見てみると「わー、ヒドイ」(^_^;) 
×の形は歪んでマチマチだったりするし、デコボコしています。最近の作品の方が明らかに綺麗で、少しは上達したんだな、ということがわかります。

では、均一に形の揃った×を平らにふっくらと刺すには、どうすればよいのでしょうか?

ポイントは、

糸をねじらない
テンションを均一に

そして、

×の四隅の穴を開けておく

です。

え? 穴って、布の穴のこと? 穴なんて、いつも開いてるじゃない?
それが、塞いでしまうことが往々にしてあるのです。それは、後でゆっくりご説明します。


刺繍枠

まずは道具の話です。

さっと始められて手軽だから、布の手触りを楽しみたいから、リネンには枠は使わない(ものである)、跡が付きそうで心配、等、枠を使わない理由は様々ですが、私は、やっぱり枠は使った方がいいと思います。

枠を使わないと、刺す辺りの布を指先で支えて刺すような形になるため、どんな固い布でも、どうしても布を平らに保つのは難しくなります。そうすると、布の表側と裏側で二点の距離が異なってしまい、平らにした時に、引きつれたり緩んだりして、揃った×になりません。
枠を使わず、目を揃えられるのは、相当にお上手な方です。

刺繍枠には、色々な種類があります。
私も色々使ってみましたが、今はもっぱら普通の丸枠を使っています。

材質はプラスチックで、大きさは8インチ。軽くて、簡単に張ったり外したりできる手軽さが気に入っています。
材質が木の物は、仕上げが丁寧にしてあるものを選ばないと、枠に布や糸が引っ掛かってしまいますので注意。包帯を巻いたりすると良いようですが、あまり厚くなってしまうと、はめられなくなってしまいます。
その日の分を刺し終えたら、次に刺すまで外しておきます。跡を心配する方もいらっしゃると思いますが、こうしておけば、取れないほどの跡が残ることもありません。(むしろ、布の畳み皺の方が手強い。)
枠が既に刺した部分に掛かってしまう時は、刺した部分にティッシュなどを挟んでそっと先にはめ、刺していない部分でカチッとはめ込むようにすれば、刺した部分の糸が痛むこともありません。挟まれた部分は、枠を外した直後はさすがに潰れていますが、時間が経つと元に戻ります。

欠点は、枠が丸いので、周辺で布が歪みやすいこと。歪んだまま刺すと、歪みが固定(?)されてしまうので、縦横の線が歪まないように気をつけて布を張る必要があります。

スクロール枠も、長い作品を刺す時に、よく使いました。
が、縦一方向に引っ張るため、どうしても作品の出来上がりがわずかに縦に長くなり、それが気になって、また、準備が面倒なこともあって、最近はあまり使っていません。
スクロール枠を使う時は、日本刺繍の台のように、横方向にもしっかり張った方がいいような気がしますが、それをするとなると、また一段と面倒です。スクロール枠なら、横の長さも融通が利くし、縦の長さを問わない、と言いますが、あまりスクロールさせて使うべき枠ではないような気が、何となくしています。
一般に、布は、縦方向の方が横方向に比べて伸びに強いと言われていますので、布目の縦方向に張るように心掛けましょう。
これも、一日刺したら、緩めて休ませます。長いことそのままにしておきますと、巻き込んだ部分のステッチが潰れてしまうことがあります。

他に、Q-Snapという枠もあります。
これは、丸いパイプ状の棒を組み立てて四角形にし、布を置いて、筒状のカバーを四辺にかぶせて固定する、というものです。と、言葉で書いても何のことやらわかりませんね。Q-Snapのホームページへのリンクを張っておきましたので、興味のある方は見てみてください。

組み立ても簡単ですし、布を張るのも簡単で、しかも、かなりしっかり張ることができます。キャンバスのような分厚いものも、ガッチリ張れます。四角形で張りますので、丸枠のように周辺で歪みが出たり、スクロールフレームのように一方向だけに張られるということもありません。挟む断面が円形なので、ほとんど跡も付きません。

しかし、挟む部分がかなり強力なので、外すのには力が要ります。刺した部分にかかる場合、枠から外す時に、カバーとパイプの間でかなり擦れるのが気になります。枠の中にすっぽり入る大きさの図案を張りっ放しで刺すのにはいいと思いますが、あちこち張り替えるのには、あまり向かない気がしました。そして、結構重いので、手に持って刺していると、だんだん疲れてきます。

という具合に、枠ごとに特徴があります。
テンションを均一にするために、あると便利な道具ですので、枠を使わないのが主義、というほどではない方は、好みのものを選んで、一度お試しになるとよいと思います。


■刺繍スタンド

ちょっと高価で、おいそれとは購入できませんが、枠を支えてくれるスタンドがあると、両手が使えて、一層早く、綺麗に刺すことができます。枠を手で持って刺すと、つい、刺す付近を枠を持っている手の中指で支えてしまうことがありますが、そういうこともなくなります。

私は、「Rocky Giraffe Utility Stand」というのを持っていました。(使わなくなって、人に譲ってしまったので、過去形です。(笑))
どんな枠でも挟めるし、角度も高さも自由自在、早いし、楽だし、とても気に入っていました。が、大きくて場所を取るし、裏へ返す時の音はうるさいし、子供はいたずらしに寄って来るし・・・、で、活用しなくなってしまいました。

もっと簡単で、テーブルの上にひょい、と置けて、どんな枠でも挟める、そんなスタンドがあるといいな、と思います。


■その他の道具

今さらですが、チャートを見る時にこれを使っています。
元々、パソコンの入力用のドキュメントホルダーですが、カーソルが付いているので、どこを刺しているか、すぐによくわかります。
以前は、下にスチールの板を敷いて、黒の細長い板状の磁石でチャートの位置を示す、というのを使っていたのですが、それだと、平らなところに置いておかなければなりません。
これだと立てておけて場所を取らず、角度も見やすいように調節できるので、机に向かって刺す時、床に座って刺す時、自由に変えられて便利です。

チャートをコピーしたり、色を塗ったりするのが嫌いなので、大作で似たようなパターンが延々と続く時などに重宝しています。


チャート立て


■糸の収納方法

糸の収納は、どうなさっていますか?

私は、初めは糸巻きにクルクル巻いて、ケースに並べて収納していました。クルクル巻くのも楽しかったし、ずらっと並べた様はそれは綺麗で、うっとり眺めたり・・・、とても楽しかったです。

しかし、しばらくすると、糸に付いた折れ曲がりが気になってきました。二本取りで刺す時に、折れ曲がったところが隣の糸に絡むような形になって、片方が浮いたりして、二本が綺麗に揃わないのです。刺している最中に結び目が出来てしまって、苛々したりもします。

それで、綺麗に並べる方法をやめるのは残念だったのですが、新しい糸をおろす時から、カセの糸を八等分して切る方法に変えました。この方法だと、糸はまっすぐで、綺麗に揃います。今や、糸巻きの糸を使い切って、芯の糸巻きにおさらばするのが、密かな楽しみだったりします。(^_^;)

ところが、今度は、収納の方法に困るようになりました。また、糸巻きに巻いてある糸、八等分の糸、捨てるのがもったいなくて取ってある糸、キットの残り糸、新品、などが別々にしまってあるため、糸の在庫を確認するにも一苦労でした。

そこで教えていただいたのが、色番号別に分けて収納する方法です。12×7センチのチャック付きの小袋に色番号を書いて、その中に、糸巻きの糸、八等分の糸、残り糸、新品など、全部入れてしまいます。袋は、ボールペン等で番号が書けるようになっているものが便利です。
この方法だと、使った糸を袋に戻し、袋を順番通りに並べておく、というのさえ守れば、ある色があるのかないのか、量はどれくらいなのか、が一目瞭然です。表などに書いてまめにアップデートしたりなくても、袋さえ確認すればすぐにわかるので、面倒臭がり屋の私にはうってつけの方法です。

ただ、一色に一つの袋が必要なので、DMC全色だと、400以上の小袋が必要になってしまいます。
私の場合、ちょうどよく収まる場所が見つからなくて、困っていましたが、ようやく、手持ちの小物整理ダンスの引き出し3杯を100円ショップで買った入れ物で仕切って収めることができるようになりました。

抽斗の中


ということで、糸は八等分にして保存することをお勧めしますが、どうしても糸巻きに巻いて保存したい場合は、糸巻きの角で糸がこすれてケバ立ったりしないよう、注意することが必要です。

参考までに:糸巻き法と八等分法の特徴

糸巻き法
長所 並べるととても綺麗。専用の収納ケースがあるので、収納しやすい。
糸が増えた時も、ケースを買い足せばよい。
糸巻きをサッと取り出せるので、色合わせがしやすい。
糸の長さを自由に決められるので、狭い範囲を幾つも刺すような場合に、効率的。
短所 糸に折れ曲がりの癖が付く。角のケバ立ちに注意。
糸巻きに巻いてある糸、新品の糸など、収納場所が違うので、在庫管理には工夫が必要。
八等分法
長所 糸がまっすぐで刺しやすい。
糸の状態に関わらず、色番号で一元管理するため、在庫管理は一目瞭然。
短所 何でもチャック付き袋に押し込んでしまいがちなので、見た目はあまり良くないかも。(^_^;)
収納場所が上手く見つかればいいんですが・・・。
糸の長さが決まっていて、しかも長いので、少しをたくさん刺す時など、効率が悪いことがある。


■布の準備

布を自分で切る時は、出来上がりの状態をよくイメージします。

何かに仕立てる場合は、刺し上がりサイズに余白と縫い代を足して、布のサイズとします。額装する場合は、余白の合計に折り返し分(最低3センチ×2)をプラスします。

何にするか決まらない場合は、各辺に15センチ程度は余裕を持たせてカットすると良いでしょう。(つまり、刺し上がりサイズ+30センチ程度。)足りない場合、後で別布を足す方法もありますが、面倒です。

布をできるだけ節約したい場合は、やはり出来上がりの状態を正確にイメージし、余白の長さまで予め決めておきます。

なお、刺し上がりサイズは、どの布を使うかによって変わります。

センチ何目の布の場合 刺し上がりサイズ(センチ
=デザインサイズ÷布のカウント
インチ何目の布の場合 刺し上がりサイズ(センチ
=デザインサイズ÷布のカウント×2.54

布は、織り目を拾ってカットします。
カットしたら、縁を巻きかがりしておきます。特にリネンは、みるみるほどけてしまって、刺していて邪魔になるだけではなく、気が付くと布のサイズが出なくなってしまっていることがあります。(経験者は語る。(^_^;)) AIDAは、リネンほどではありませんが、ごく小さい作品などは別にしても、やはりかがっておいた方がよいでしょう。

ミシンを使うことを気にしない方は、ジグザグやロックミシンを掛けてしまってもいいと思います。私は、最近は、ジグザグミシンをガーッと掛けてしまっています。

そして、布を折り畳んだ皺が付いていたら、霧を十分吹いたり、場合によっては市販の皺伸ばし剤などを使って、よくアイロンを掛けて皺を取っておきましょう。(仕上げる前にもう一度水に通しますので、皺伸ばし剤も落とすことができます。)
枠のあとなどはまず残りませんが、畳み皺のあるまま刺してしまうと、後で幾らアイロンをかけても、畳んだ線がうっすらと戻って来てしまうことがあります。あまり深い皺の場合は、もったいなくても、そこを避けることも必要になって来ます。
布は、買ったら、なるべく折らずに巻くなどして収納しておきましょう。


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