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How to クロスステッチ ステッチ編

■糸の通し方

いよいよ刺す前に、当然ながら針に糸を通さなければなりません。この時、決して、糸を舐めたりしないでくださいね。

簡単なのは、糸の端に近い部分を、針の針穴の部分に掛けて二つ折にする方法です。二つに折ったら、ぎゅっと押さえてできるだけ平らにし、針を抜いて、糸の折った輪の部分から針に通します。

糸が少し太めで、この方法ですんなり通らない場合は、手近にある紙を使います。
ティッシュペーパーではダメですが、コピー用紙程度の厚みがあればOK。そこらのメモ用紙の端っこで、十分間に合います。
まず、紙を細長く切ります。横長に置いたとして、縦は針穴の2倍より短くかつなるべく長く、横は2〜3センチもあればよいでしょう。これを横に半分に折ります。横に長い紙になりましたね。この折った紙に、糸端が出ないように糸を挟みます。そして、紙ごとすすすと針穴へ。
この方法ですと、特別な道具なしに簡単に糸を通すことができますので、覚えておくと便利です。


糸の通し方


■基本的な刺し方

さて、ようやく刺すところまで進みました。手が綺麗か確かめて、始めましょう。(^_^)

クロスステッチは、/と\、どちらが上に来るかが揃うように刺します。ある時は/が上、ある時は\が上、というのではいけません。私がアメリカで見た作品は、/が下で\が上というのが一般的でした。

私はニードルポイントから始めたため、最初は逆に刺していました。ニードルポイントは右上から刺し始めるため、クロスも同じように刺していくと、\が下、/が上、が自然なのです。しかし、どの説明、見本を見ても/が下、\が上になっていたので、何となく気持ちが悪く、途中で直しました。

しかし、イギリスでは逆のようですね。ですから、どちらかに揃っていればいいと思います。
以降の説明は、全て/が下で\が上です。

刺す時は、糸が裏で|||と縦に並ぶようにします。すなわち、刺し方は、次のどちらかです。上下を引っ繰り返せば、どちらも同じですね。
便宜的に、左のものを「上向きクロス」、右のものを「下向きクロス」と呼ぶことにします。

上向きクロス下向きクロス


行ごとに///・・・と行って\\\・・・と帰って来る、行って帰って来る方法が基本ですが、一つずつ×を完成させる方法もあります。段染めの糸を使う時は、一つずつ完成させる方法で刺した方が、色の変化がくっきりと出ます。
図案を刺す時は、これらを組み合わせて刺します。

行って帰る方法
行って帰って来る方法


ところで、「縦に往復して刺すので裏の糸は横横になっていますが、慣れているし、別に支障はないのでこれでいいと思います。」というお話をお聞きすることがあります。
私は、「裏よりも表が大事」派なので、確かにその通りだと思います。けれど、表が綺麗ならどちらでもいい、とも言いません。
伝統的に、クロスステッチは、裏が縦縦になる刺し方を説明されることがほとんどですが、それには次のような理由があると思うからです

すなわち、布目には縦と横があり、一般に横の方が縦に比べて伸びやすい。それを考えると、布目の縦が縦になるように使うのが望ましく、スクロールフレームなどに張る時は、縦方向に張った方が張ることによる伸びが抑えられる。その際、普通は横幅が全部入るように張るので、横に往復する方が効率がいい。(縦の往復だと、布の巻き具合で端まで往復できないことがある。)

布目に無頓着な私が言っても説得力がありませんが(笑)、どうぞご参考になさってください。

刺す時は、糸をねじらないように注意し、時々空中で針を離して、撚りを戻すようにします。すぐにねじれてしまう人は、自分の刺し方に癖がないか、確認してみましょう。いつも右に針を回してしまう癖があれば、意識して回さないようにするなどして、なるべく糸をねじらないで刺せるように練習します。

なお、刺す時は、布の表・裏に針を出すたびに糸を引きます。布をすくって縫うように刺すと、テンションを揃えるのが難しく、揃った×になりません。


■刺し始め

糸は、必ず一本ずつ取り出して、必要な本数だけ揃えます

6本の糸の端に近いところをしっかり押さえ、一本を静かに引き抜きます。決して二つに裂くようにして抜かないでください。糸が絡まる原因になります。また、押さえる時は、ギュッとしっかり押さえます。中途半端に力を抜くと、途中で絡まってしまうことが多々あります。

引き抜いたら、そのまま宙に吊るします。糸がくるくる回りますね。糸の動きが完全に止まるまでしばし待ち、ねじれを取ります。


二本取りの場合は、一本を半分に折り、布の下で輪に端を通して止める、というやり方が簡単です。始めの糸始末がいらないので、裏もごちゃごちゃしません。
この方法は、ループメソッドと呼ばれています。

糸を半分に折る時は、糸端をきちんと揃えます。糸端がずれていると、二本のうちの一本が緩んだり、糸が短くなってきた時に一本だけ針から抜けたりして、イライラします。
下から上に針を出し、上から下に針を入れたら、裏返して、輪が小さくなるまでゆっくり針を引きます。輪が小さくなったら、針を通し、さらに輪が最小になるまで針を引いたら、逆の方向に少しだけ戻します。最初の目は緩みやすいので、裏で手探りで通すようなことはせず、裏返して、目で確認しながら、しっかり止めるようにします。
この方法で刺し始める時は、最初のステッチだけ、逆に針を入れます。たとえば、上向きクロスを刺す時は、右上から針を出し、左下へ入れて、裏で目にくぐらせます。(普通は、左下から出し、右上へ入れる。)

偶数本取りの場合は、この方法で始めることができます。


二本取りでも、違う色を引き揃える場合、段染め糸の場合、糸が短い場合、また、奇数本取りの場合などは、この方法は使えません。刺し始めの糸も、裏でくぐらせるようにしなければなりません。

そのためには、まず、糸をねじれないように揃え、玉結びを作ります。玉結びは、糸を裏で押さえておかなくてもいいように仮止めするためのもので、玉結びをしたら、常に上から針を刺します。


裏がどうなるか、予想できる場合、たとえば次のような例の場合、Aで上から針を入れ、Bで出します。この時、裏で渡る糸が斜めになるようにするのがポイントです。あとは普通に刺していけば、裏では自然に糸が止められています。そうなれば、もう表側の玉結びは不要ですので、少し引っ張るようにして切ります。玉結びは、なるべくその都度切っておきます。後でまとめて切ろうとすると、切り忘れる場合があります。

裏がわかっている時の刺し始め


しかし、図案によっては、裏がどうなるか予想できない場合もあります。その場合は、十分遠いAに上から針を入れ(これをウェストステッチと言います)、Bから出してある程度刺し進め、裏にくぐらせる糸ができたところで、玉結びを切って、裏側で糸をくぐらせます。Aを十分遠い場所(少なくとも、針の長さの二倍程度は必要でしょう)にしておかないと、糸の長さが足りなくて針が通らないので、注意します。

裏がわからない時の刺し始め


大体この三つの方法を知っていれば、ほとんどの場合に対処できます。

また、ループメソッドの場合は特に、下側に重なる糸から始めるようにしましょう。刺し始めが上に重なる方のステッチだと、最初の一目が目立つことがあります。(ハーフクロスステッチに使う場合も同様です。)
ということは、刺し終わりを行って戻る途中などにしてはいけないということです。


■ブロックとルート

刺し始める場所は、一般的には図案の中心から、とされています。これは、図案には必ず中心を示すマークがあり、布の中心も、四つ折りにすれば簡単に見つけられるので、位置を合わせやすいからでしょう。計算さえ間違わなければ、どこから刺し始めてもいいと思います。が、あまりあちこち飛んで刺さず、初めに刺したところを中心として、刺し広げるようにした方が、間違いは少なくなります。

刺し始める前に、まずじっくりと図案を眺めます。
一番最初なら、やはりある程度固まっている色から刺すのがいいでしょう。私はこの固まりのことを、勝手に「ブロック」と呼んでいます。刺す色が決まったら、その周辺もよく見て、一緒に刺した方がいい固まりや、飛んだステッチがないか、探します。
この際、距離はあまり関係ありません。あくまで、刺そうとしているブロックと一緒に刺した方がいいか、他のブロックと一緒に刺した方がいいか、それを判断の基準にします。

例えば「Lompoc」のお花畑のように、単独のステッチが広範囲に散っているような場合は、刺して行く効率のよい道筋を探します。私は、これも勝手に「ルート」と呼んでいます。

よく、何目くらいまでなら糸を渡してよいのか、という疑問が出ますが、私の場合、ブロックやルートに乗るか乗らないか、で判断します。マメに糸を切って新しく刺し直しても、結局、刺し始めや刺し終わりの糸始末があるので、手間がかかる割に、裏の煩雑さの程度はあまり変わらないからです。

しかし、何でもどんどん糸を渡してよいか、というと、そういうわけではありません。それは、次でご説明します。


■裏と表・その微妙な関係

"But, nobody will see the wrong side."

ニードルワークの教室で、私は割と「裏もキレイね」と褒められることが多かったのですが、「どうやったらこういう風にキレイになるの?」とみんなでワイワイやってる時に、先生がニコッと笑っておっしゃったのが、冒頭の言葉です。
(余談ですが、この先生は本当に大らかな方で、ニードルポイントの模様を刺す時なども、刺し始めの位置などを全然気にしませんでした。ヘンなところにこだわる私は、模様の中心が刺すエリアの真中に来て欲しくて、いつもキャンバスの目を数えていたので、先生は、「Mariはcounted ladyね。」と苦笑されていました。(^_^;))

裏なんか誰も見やしないわよ。

全くその通りだと思います。本当に上手な方は、裏も、表と見紛うばかりに美しいそうですが、「誰も見ない」裏に必要以上に気を使うのは、面倒臭がりの私にできることではありません。

しかし、じゃあ、裏は、何も気にせずぐちゃぐちゃでもいいのか? というと、答えはNOです。

例えば、やたらに糸が渡って、厚いところと薄いところに極端に差があると、台紙にマウントした時、デコボコになって美しくないので、裏に渡る糸は、なるべく短いに越したことはありません。また、何も刺していないところに糸が渡っていると、表から見た時に、意外に透けて見えて気になります。切った糸端が、図案の輪郭からはみ出ているのも同様です。AIDAではまずそういうことはないと思いますが、キャンバスや、粗いリネンの時は、白などの明るい色で刺した部分の裏に濃い色が渡っていると、表に響きます。

等々、必要以上に気を使うことはないけれど、糸の渡し方や、刺し終わりなど、裏側でもちょっとしたことを注意するのとしないのでは、表から見た美しさに差が出ます。逆に言うと、表から見て美しくなるように刺したものは、裏もそんなにめちゃくちゃにはなりません。


■糸の渡し方

ということで、裏側で糸を渡す時は、次のような点に注意します。

・少々糸が渡っても、後で刺す部分なら、自然に刺しくるまれるので、そのまま渡してよい
・既に刺している部分を糸が渡る時は、長い時は、後で引っかかったりしないように、途中でチョイチョイと一目ずつ通しておく (全部通す必要はない)
・表に響くので、何も刺さない部分には糸を渡さない
・布自体が透けやすい場合は、淡色の裏に濃色を渡さない

そして、

・渡る糸は、やはりなるべく短いに越したことはないので、刺す順番をよく考える

ことが重要です。


■刺す順番

さて、刺すブロックやルートが決まったら、ここでもう一息、今度は刺す順番を考えます。これをじっくり考えて、最適の順番で刺すことが、綺麗なクロスステッチに繋がります。
ここで、ようやく「四隅の穴を開けておく」が出て来ます。

刺す順番を決めるのには、何を考えればいいでしょうか。距離が一番短くなるようにする? それもあります。が、布のマス目の4隅の穴を塞がないように気をつけるのが、一番大切です。
では、穴を塞ぐというのはどういうことでしょう?

たとえば、次のように刺すと、裏側に渡る糸で、穴4が塞がれてしまいます。

穴が塞がれる例


この、穴が塞がる、ということが、刺しにくい、×の形が揃わない原因の一つであるのをご存知でしたか?
ここに糸が渡っているばかりに、隣り合う他の目を刺す時に糸がひっかかってつれてしまったり、既に刺してある目の形を崩したりすることになってしまうのです。ただでさえ、一つの穴には、四方から4本も糸がやって来て混み合います。穴をなるべく開いている状態にしておけば、刺しやすいし、×の形が崩れることもないというわけです。

では、どうやれば穴が開くかというと、裏に渡る糸が鋭角に折れ曲がるように刺せばいいということになります。

穴を塞がない例


もちろん、左右に何ステッチずれているかによって例外はありますが、大雑把に言って、上向きクロスで下に進む下向きクロスで上に進む、という形で刺していけば、穴が塞がれることが少なくなります。
刺す順番は、このことと、裏でなるべく糸が渡らないようにすることの両方を考えて決めます。

では、具体的な例を挙げてみましょう。


例1 最も易しい例です。上向きクロスで下に進む、下向きクロスで上に進む、どちらで刺してもよいでしょう。

例1



例2 例1に似ていますが、下向きクロスで上に進む方法で刺した方がベターです。裏に渡る糸が短くなります。上向きクロスでは行の左側が、下向きクロスでは行の右側が起点になりますので、ブロックの形によっては、どちらかを選んだ方がいい場合があります。

例2



例3 飛び飛びのクロスを刺す例です。上向きクロスで下へ刺し進み、下向きクロスで上へ刺し進みます。この場合、一番下の×は、下へ刺し進んだ終点ではなく、上へ刺し進む始点であることに注意します。すなわち、一番下の×は下向きクロスで刺します。

私は、飛び飛びの色は、できる限り早く刺してしまうことにしています。糸を渡しても、後でくるまれるので、その方が楽だからです。ただし、よくよく数えて刺す必要があります。こうした飛び飛びの点は、後で刺す色の拠り所ともなりますので、数え間違っていると、他の色もまとめて間違ってしまって、悲惨なことになります。

例3



例4 行って戻ると、次が遠い場合は、一つ一つ刺して進むこともあります。

例4



例5 同じく、端が遠い場合、途中に降りて、改めて端から刺すこともあります。

例5


もちろん、全てがこの例に当てはまるわけもなく、結局は臨機応変ということになるのですが、いつも穴を塞がないということを意識するようにしています。それでも穴が塞がれてしまう場合も多々あって、その場合は、穴の周辺のクロスが全部刺されてから、針のお尻で上から押し込み、糸を整えるという、ごまかしをやっています。(^_^;)


■刺し終わり

刺し終わったら、裏で2〜3目くぐらせて、際で糸を切ります。
糸が鋭角に引っ張られる向きにくぐらせます。

くぐらせるのは、今刺してきた行ではなく、なるべく隣の行にします。刺したばかりの場所に糸をくぐらせると、裏側で糸を引っ張ることになり、最後に刺した目が緩みやすいからです。刺したばかりの行に糸をくぐらせる場合は、糸をしっかり引き、必ず表を見て、最後の目が緩んでいないか確認するとよいでしょう。

くぐらせるのは2〜3目で十分です。布に直角に入った糸が、布に平行に止められるということは、引っ張りに対する角度が90度変わるということなので、2〜3目くぐらせるだけで、ちょっとやそっとでは抜けません。間違えてほどく時など、苦労するほどです。そして、2〜3ミリと言えども無駄に余らせず、際で切るようにします。この癖を付けておくと、糸端が図案の輪郭からはみ出て見苦しくなることもありません。

また、下側に重なるステッチから刺し始められるように刺し終わるよう、注意しましょう。刺し始めが上に重なるステッチになると、そこだけ目立つことがあるからです。
例えば行って帰る刺し方をしている時は、行く途中で終わるか、帰って来てしまってから終わるようにします。行きの終わりや、帰る途中で終わってしまうと、次の刺し始めが上に重なるステッチからになってしまいます。

全て刺し終わったら、もう一度、刺し忘れはないか(なぜか額装等した後で必ず見つけてしまい、悲しい思いをする)、表で結び玉を切り忘れていないか、裏で輪郭からはみ出ている糸はないか、チェックします。

OKだったら、サインを入れます。私の場合は、作品の中の一番目立たない色一本取りで、目立たない場所に、西暦とイニシャルを入れています。西暦は必ず4桁で。先生曰く、「将来、アンティークとして研究対象になるかも。その時、2桁しかないと、何世紀かわからないでしょ。」とのこと。(^_^;) 研究対象になんか絶対ならないと思うけど、自分にとってのいい記念にはなります。


■アウトライン

苦手な方も多いアウトラインは、バックステッチで刺す方法と、ホルベインステッチで刺す方法があります。

バックステッチは、本返し縫いと同じ刺し方で、一目ずつ進んで行きますが、ホルベインステッチは、一目飛ばしてどんどん進み、飛ばした目を刺しながら戻って来ます。

厳密に言うと、両者の出来上がりは違うということになるのでしょうが、通常、アウトラインは1本取りか2本取り程度で刺されることが多いですし、クロスステッチの縁に「埋まる」形になるので、そんなに差が出ることはないと思います。

私は、アウトラインはホルベインステッチで刺しています。繋がったアウトラインなら一筆書きができるので、わかりやすいです。

ダンジョン攻略(^_^;)と同じで、ルールは簡単。

・まだ刺していないラインへの曲がり角に来たら曲がる
・行き止まりまで(輪になっている場合は、刺し始めた部分まで)刺したら、飛ばした分を刺しながら曲がり角まで戻り、また先へ進む


これだけです。どうもアウトラインは苦手、という方は、一度ホルベインステッチを試してみてください。


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